私が結婚しない理由

 結婚しないも何も、そもそも私は結婚できない。その理由は枚挙にいとまがなく、まず一重ブス貧乳。髪はパサパサ、身長のわりに短足で、運動を一切しない弛んだ体。つまり容姿のスペックがとても低い。年齢は今年29。“30代”を目前に控え結婚を焦る年齢であり、すなわち異性から見て「重い」年齢。料理しないできない。掃除しないできない。洗濯物は溜め込む。あまりに低い家事レベル。車も持たず運転不可なペーパードライバー。今年4月~無職。基本的にネガティブで、一緒に居て楽しくない性格…等々。どう考えてももう結婚は無理である。このスペックで結婚したいなら、唯一若さだけが武器となった24歳くらいまでに、他の欠点に目をつぶってくれる人を見つけなければならなかった。しかし、たとえ今20代前半に戻れたとしても私は、結婚❕とはならない。

 そもそも私が結婚したかった一番の理由は「既婚者の肩書きが欲しかった」から。私自身が相手のことを見る時、独身<バツイチ<既婚者<既婚者かつ子育て経験がある人、と無意識に格付けをしているからだ。しかし、「結婚して子どもを産んで一人前」という社会の価値観は、なくなりはしないだろうが年々確実に薄れてきていて、それどころかへたに独身を馬鹿にするとハラスメントと言われる時代になった。私と同世代でも独身仲間はたくさんいる。周囲から馬鹿にされないために既婚者の肩書きが欲しい!という気持ちは、今はほとんど残っていない。

 それから、私が結婚無理だと考える理由の一つに、元カレとの思い出がある。当時30代後半の元カレは、私が20代後半にして初めてできた彼氏だった。彼は車好きで借金があり、口癖は「金ない」。流暢に話すが視線は合わず、「使えない新人と馬鹿な上司に挟まれてその尻ぬぐいをさせられる、仕事のできる優秀な俺」の話を繰り返すのが好きな人だった。雨の日は「事故でも起きれば面白いのにw」と喜々として語り、素面で「ファーーーック!」と言いながら中指を立てるのを見ながら、私とは合わないなあ…と思っていたのだが、それでも1回だけ行為した。途中で乾いてしまったため最後までできなかったが、生涯彼氏ナシ未経験独身の3冠のうち、これで1冠で済むなら悪くないと思った。これは負け惜しみを含むが、私にとって重要だったのは「職場の先輩の紹介、という金銭を介さない真っ当なルートでできた身元の明らかな彼氏と、数回デートしてから体の関係を持ち、後に別れた」事実だった。彼氏ができた時、親ははしゃいで話を聞いてくれて、同性の友人・知人とも今までできなかった話ができるようになったのが何より嬉しかった。その点については、本当に元カレに感謝している。一時でも私で妥協して付き合ってくれてありがとう。

 もし私が「やっぱり仕事続けることにした! あなたの借金は一緒に返すよ! 私は貧乏でも大丈夫! 車も買うし家事も頑張るし、子どもができても仕事続けるよ!」と言えれば結婚できていたのだろうかと考えることが今でもある。しかし金も時間も自分自身のためだけに使いたい私がそうなれることは一生無い。私は、昔 心から好きで片思いしていた男性は今どうしてるかな幸せかな…とかしょうもないことをたまに思いながら、生涯独身で人生終えます。